大福茶(おおぶくちゃ)とは、京都に古くから伝わる慣わしで、新年の始まりに一年の無病息災を祈っていただく縁起の良いお茶のことです。「大福茶」という名前は、「大きな福をもたらすお茶」という意味が込められています。
起源と歴史
大福茶の起源は平安時代に遡ると言われています。
平安時代中期、京の都で疫病が流行した際、六波羅蜜寺の開祖である空也上人(くうやしょうにん)が、梅干しを添えたお茶を人々に振る舞い、疫病の鎮静に寄与したとされています。
その後、村上天皇(在位:946年~967年)もこの功徳にあやかり、年始に同様のお茶を服するようになり、「皇服茶(おうぶくちゃ)」と呼ばれるようになりました。
この習慣は庶民にも広まり、幸福をもたらすお茶として「大福茶(おおぶくちゃ)」と称され、現在も日本人の伝統文化の一部として親しまれています。
何が入っている?
通常、大福茶には以下のものが使われます。
- 梅干し:「しわが寄るまで元気に暮らせますように」の意味から長寿と健康を願うもの。
- 結び昆布:「よろこぶ」の語呂に通じる昆布を結ぶことで、家族の喜びと結びつきを願うもの。
- その他:豆(黒豆、白豆)、山椒、ゆず、玄米、黒文字、金粉など
- 煎茶や番茶:さっぱりした味わいの茶葉が一般的。
大福茶を淹れてみよう
- 煎茶または番茶を準備します。
- 湯呑みに縁起物の小梅と結び昆布を入れます。
- 急須に茶葉を入れます。
- 熱湯を注ぎ、30秒ほど待ちます。
- 湯呑みに注ぎ、最後の一滴まで残さず注ぎ分けます。
大福茶は、家庭に幸福や繁栄をもたらす象徴とされ、新しい年の始まりや祝い事にふさわしいと考えられています。また、そのシンプルで自然な風味は、心を落ち着け、和やかな気分にさせる効果もあります。ぜひお試しください。