茶道の”初風炉”に宿る、初夏の美意識。

茶道の”初風炉”に宿る、初夏の美意識。

5月になると、茶道の世界では「炉」から「風炉」へと切り替わります。 この季節の節目を「初風炉」と呼びます。 冬のあいだ茶室を温めていた炉を閉じ、床の上に置かれる小さな風炉へと移ることで、 茶室に初夏の清々しさを運んでくれます。 茶道は、道具の選び方や配置、所作のしなやかさといったしつらえによって季節を表す文化です。 その中で、風炉の魅力は道具やしつらえがをつくり出すところにあります。 たとえば、ふすまを開け放ち、湯を汲む柄杓の角度がわずかに変わるだけで、初夏の風がすっと通り抜け、茶室に漂う温度の印象が変わります。 茶器も薄く軽やかになり、茶の温度をやさしく下げてくれます。 茶道は、こうした微細な変化を積み重ねて、季節の気配を空間ににじませていきます。 そこには日本人が古くから大切にしてきた「季節とともに生きる」という感性が息づいています。その美意識は、現代の暮らしにも新しい季節の感じ方を教えてくれるように思います。

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