Vol. 1 そもそも、日本茶って何だ?
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日本に住んでいる人にとって、日本茶はあたりまえの存在ですね。改めて、「日本茶とはどういうものですか?」と聞かれると、意外と答えられないものです。

「日本茶」とは、日本で作られているお茶全般のことをいいます。そして、日本茶と言えば「緑茶」と呼ばれる種類が一般的です。日本の緑茶は、茶葉を蒸して乾かす「蒸製法」という方法で作られており、発酵を止めたお茶(不発酵茶)を指しています。これによって鮮やかな緑色を保ち、飲んだ時に独特の香りやうま味を楽しめます。他国のお茶とは少し違う、日本独特の製法と味わいが、日本茶を特別なものにしています。
そして、日本茶のもとになる「チャの木」についても少し触れておきましょう。チャの木はつばき科の常緑樹で、学名はCamellia sinensis(カメリア・シネンシス)といいます。寒い地域から温暖な場所まで、世界中で育てられる植物です。この木の葉を収穫して加工することで、緑茶はもとより、焙じ茶、抹茶、さらには紅茶やウーロン茶などができあがります。チャの木は、どの葉を選び、どう加工するかによって、さまざまなお茶の種類が生まれるのです。ちょっとした発見ですよね。

日本における茶の普及は、平安時代(8~12世紀)頃に始まります。遣唐使が中国から茶の種子や製法を持ち帰り、京都や鎌倉で栽培が進みました。
室町時代になると、臨済宗の僧侶たちの指導のもと、茶会や茶の湯の文化が確立されていきます。千利休(1522-1591)はその代表的な人物であり、茶の湯の精神を体系化し、「わび茶」を確立しました。

江戸時代に入ると、静岡などの地方で茶の栽培が盛んになり、庶民の間にも広く普及しました。さらに、茶の種類や飲み方も多様化し、煎茶、抹茶、玄米茶など、多くの種類が生まれ、日本の食文化に密接に結びつきました。
現代においても、日本茶は単なる飲み物にとどまらず、茶道や文化の一部として、日本人の精神性や美意識とも密接に関連付けられています。